Experience Cloudにおけるロールについて解説
本記事では、Experience Cloudにおけるロールの仕組みについて解説します。
ロールとは
Salesforceにおけるロールとは、階層構造形式でユーザーがアクセスできるレコードの範囲を制御するための仕組みです。
上位のロールに属するユーザーは、その下位のロールに属するユーザーがアクセスできるすべてのデータにアクセスすることができます。
Experience Cloudにおけるロール
Experience Cloudの代表的なライセンスとロールの有無については下記の通りです。
ライセンス | ロール |
---|---|
Customer Community | ロールなし |
Customer Community Plus | ロールあり(カスタマーロール) |
Partner Community | ロールあり(パートナーロール) |
Customer Communityライセンスのユーザにはロールは付与されませんが、
Customer Community PlusとPartner Communityライセンスのユーザには付与できます。
カスタマーロールとパートナーロールの数はそれぞれ1〜3から設定できます。
内部ユーザーのロールとは違って、ロールやその階層を自由にカスタマイズすることはできません。
ロールの数は、[設定]
> [デジタルエクスペリエンス]
> [設定]
画面の「ロールとユーザー設定」から設定できます。
カスタマーロール・パートナーロール名は下記のように付与されます。
取引先名 + 顧客/パートナー + ユーザー/マネージャー/エグゼクティブ
ロールの数を1に設定したら「ユーザー」のみで、2の場合は「マネージャー」が加わり、3の場合は「エグゼクティブ」が加わるというイメージです。
内部ロールとのつながりを図にすると下記のようになります。
ここで、カスタマーロール・パートナーロールの上位ロールとしては、そのコミュニティユーザーの所属する取引先レコードの所有者の所属する内部ロールになることに注意が必要です。
取引先ロールの最適化
Spring'22より適用された、「取引先ロールの最適化」が有効になっている場合は、
1取引先に紐づくコミュニティユーザーが1人の場合に、そのユーザーには「共有個人ロール」が割り当てられます。
「共有個人ロール」は
取引先所有者の別名 + 顧客/パートナー + 個人取引先
という形式で命名され、別々の取引先に所属するコミュニティユーザーが1つのロールに割り当てられることになります。
その取引先に紐づくコミュニティユーザーが2人以上になった場合には、「共有個人ロール」ではなく、
前述のカスタマーロール・パートナーロールが作成されてそれに割り当てられます。
この「共有個人ロール」はカスタマーロールやパートナーロールと同様にレコードの共有先や公開グループのユーザーに指定できますが、
基本的にはそう言った使われ方をすることはないのかなと思います。
特定の取引先のコミュニティユーザーにのみ共有したいレコードがある場合には、カスタマーロール/パートナーロールを共有先に指定する必要があります。
「共有個人ロール」を共有先に指定すると、他の取引先のコミュニティユーザーに共有してしまう可能性も大いにありますので、注意が必要です。
「取引先ロールの最適化」に関してはロール数の数を最小限に抑えてパフォーマンスの低下を防ぐものであり、
新規組織ではデフォルトで有効化されています。
「取引先ロールの最適化」を無効化して「共有個人ロール」に割り当てないようにするためには、[設定]
> [共有設定]
画面の組織の共有設定の下の方の
[作成されるロール数を最小限に抑えて、処理の負荷を軽減し、パフォーマンスを向上させる]のチェックを外します。
ロールでのレコード共有
Experience Cloudにおけるロールを使ったレコード共有について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
Experience Cloudのロールの命名規則は結構ややこしいので、何度もこの記事を読んで理解を深めていただけたら幸いです。
よろしければ、他の記事もご覧ください。